~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~
「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)
悩みには人間関係の悩みや健康面の悩み、生活環境に対する悩みなど様々ありますが、私たちは「自分の思い通りにならないこと」に直面すると悩みが生じます。
「何かをしたい」「こうなりたい」という欲求は私たちの生活の原動力になっています。しかし、私の願望がすべて実現できるとは限りません。私の生き方も全うできるとは限らないのです。願望に対して期待が大きいほど、思い通りにならなかったときの苦しみは大きくなります。私の信念に固執するほど、それに反する行動に対して怒りを感じ、受け入れられないことに対する不安や失望が強くなります。
このように、私たちは「思い通りにしたい願望」と「思い通りにならない現実」の間で悩んでいるのです。
「悩む」という行為そのものは問題ではありません。どうすれば自分の願望が叶えられるかを悩むことで、私たちは自分自身を成長させ、ストレスに対応するための様々な智慧を身につけていきます。
例えば、周囲の協力や理解の大切さに気づかされたり、努力を重ね自分自身を成長させることの必要性を学んだりします。
また、目標を達成する喜びを覚え、悩みがやる気や生きがいをもたらすこともあります。
また、直ちに願望が叶えられないとしても、努力し続けることに意味を見出したり、他の願望を叶えることで満足したり、願望そのものを見直すなど、こころを安定させる様々な方法を見つけ出すこともできます。
さらには、悩み苦しんでいる人の気持ちを察する力が養われ、相手に対するやさしさ(慈悲心 じひしん)が生まれます。
このように悩みは私たちに多くの気づきをもたらしてくれるものなのです。悩むことを恐れず、悩んでいる時間を大切にしてください。
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