~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~
「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)
自分らしく生きるためにはどうすればよいのでしょうか?
まずは、自分に目を向けて、自分の性格や長所、短所を知ること(自己確知)。次に自分の好きなところも、嫌いなところも含めて、ありのままの自分を受け入れること(自己受容)が大切になります。
ありのままの自分で過ごしたいと思っても、すべて思い通りになるわけではありません。学校や職場、家庭や地域などで私たちは様ざまな人たちと関わりながら生活をしています。そして、人はそれぞれ性格や価値観が違います。一人ひとりがありのままで生きたいと思い、自分の考えや意見を主張しても、すべてが相手に受け入れられるとは限らないのです。
自分の生き方が周囲に受け入れてもらえないため、自分を誤魔化し、周囲の目を気にして相手に合わせることで、さらに自分の望む生き方とはかけ離れてしまい、人と関わることに疲れてしまうのです。
まずは「自分と相手は違う」ということを改めて確認してみましょう。生まれ育った環境やこれまでの人間関係、性格や体質、趣味や生活習慣、価値観や人生観など、すべて自分と同じという人は存在しません。自分が生きてきた人生があるように、相手にもこれまで歩んできた人生があるのです。
違う人生を歩んできた人たちの中で、それぞれが自分らしい生き方をするためには、お互いに相手の立場を認め合う関係を築かなければなりません。
自分と相手は違うということが確認できたら、次に、相手の立場を理解し、認めることを心がけましょう。ありのままの自分を受け入れるのと同じように、ありのままの相手を受け入れる。そのためには、たとえ私の考える理想的な相手の姿ではなくても、相手を許し、がんばっている相手を認められるように努力しましょう。
自分と相手の違いを知り、相手の立場を理解し、お互いに尊重し合い、認め合える関係が築けることを自己成熟と呼びます。成熟した自己を養い、お互いに自分らしい生き方が過ごせるような関係を築いていきましょう。
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