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百番観音(相模原市文化財)・安産守白子観音を祀る観音霊場

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こころに向き合うBUDDHISM

こころに向き合う

こころに向き合う

~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~

「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)

筆者(住職 舘盛寛行)略歴

第19回 煩悩(貪)

~煩悩にはどのようなものがあるのでしょうか?~

いつも同じようなことで失敗するということはありませんか?
そして、そんな自分を変えたいと思うことはありませんか?

同じ失敗を繰り返すのは、一つの考え方や行動に固執し過ぎたり、偏った考え方や行動が習慣化しているからかもしれません。自分を変えていくためには、自分自身の考え方や行動の癖(くせ)を知ることが大切になります。

仏教では自己中心的であり、偏ったものの見方、考え方、行動を「煩悩(ぼんのう)」といいます。お釈迦(しゃか)さまは、悩みや苦しみを生み出す原因は煩悩であると説かれました。そして、煩悩は誰の心にもあるため、自分自身の煩悩を知り、煩悩をコントロールすることが、悩みや苦しみを解決する道だと説かれました。

では、私たちの心にはどのような煩悩があるのでしょうか。仏教では根本煩悩として、①貪(とん)、②瞋(しん)、③癡(ち)、④慢(まん)、⑤疑(ぎ)、⑥悪見(あっけん)の六つを重要視しています。自分の心にある煩悩を確認してみましょう。

第一の「貪」は貪(むさぼ)りの心です。自分の好きなものや欲しいものを、たくさん手に入れたいと思う心は誰にでもあると思います。しかし、それに執着(しゅうじゃく)して、自分のことだけしか考えず、必要以上に求めるようになると、周囲の人びととの関係が崩れ、トラブルの原因となります。また、お釈迦さまは、この貪りの心は際限がなく、ヒマラヤ山脈をすべて黄金に化しても尽きることがないと説かれました。つまり、貪りの心が大きくなり過ぎると、たとえ欲しいものを手に入れても、満足感が得られることはないということです。

私たちは日々の生活の中で、多くの願望を持ち、目標を掲げ、その実現に努力しています。そして、その努力の過程において、私たちは様々な智慧(ちえ)を身につけ、自分自身を成長させていきます。「何かをしたい」「こうなりたい」という欲求は私たちの生活の原動力となっていることは間違いありません。

しかし、願望に対して期待が大きいほど、また、欲求が強いほど、思い通りにならなかったときの苦しみが大きくなることも知らなければなりません。

お釈迦さまは、貪りの心を「火」に喩えました。火は暗闇を照らす灯りとなり、また、暖をとることもできます。火は私たちの生活に欠かすことのできないものですが、扱いを誤ると、周囲を巻き込み、自分自身をも焼き尽くす危険があります。

自分自身の心にある「貪(貪りの心)」に気づいたら、火を扱うように、気をつけながら、良い方向に活かしていきましょう。



→ 目次へ(こころに向き合う 全32回)


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