~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~
「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)
何を信じて良いかわからなくなることはありませんか?
私たちはお互いにつながり合い、支え合いながら生きています。ともに生きるためには、お互いに信じ合うことが大切になります。
しかし、信じていた人に裏切られたり、人の裏表が見えたりしてしまうと、容易に人を信じられなくなってしまいます。人はいつも相手のことを考えて行動しているわけではありません。自分だけ利益を得ようと、嘘(うそ)をついたり、騙(だま)したり、相手を貶(おとし)めることもあります。そして、その人を信じてしまったために、かえって不利益を被(こうむ)ることがあります。そのため、私たちは自分を護(まも)るために、時には相手の言動を疑ってみることも必要なのです。
お釈迦(しゃか)さまも「たとえ私の言葉であっても、むやみに信じることはせずに、必ず真実か否かを自分で確認しなければならない」と説いています。
しかし、疑ってばかりでは人間関係が築けません。お釈迦さまは、疑いの心は誰の心にもある根本煩悩(こんぽんぼんのう)の一つであるため、注意が必要だと説いています。疑いの心が強くなり過ぎると、心に柔軟性がなくなり、自分の考えだけに固執(こしつ)するようになります。さらには、誰も信じることができなくなり、自ら孤立に陥(おちい)ってしまいます。
また、どれだけ疑っても、すべての事柄に対して答えが出るわけではありません。判断が難しい内容になると、考えることに疲れ、思考が停止し、正しい判断ができなくなってしまいます。
特に人間関係においては、どんな人の心にも煩悩があり、完璧(かんぺき)な人間はいません。信じられるところもあり、信じられないところもあるというのが人間です。そのことを踏まえた上で、お互いに信じ合える関係が築けるかということは求められているのです。
もし、何を信じて良いのかわからなくなってしまったら、自分の考えだけで判断せずに、まずは多くの人の意見を聴いてみましょう。様々な考え方を聴くことで、心が柔軟になり、多角的に物事を考えられるようになります。
ただし、未来のことをすべて知ることはできません。たとえ未来への不安が残っていたとしても、前へ進むために、最後は自分を信じて一歩を踏み出すしかありません。信じ合える関係が築けるように一歩一歩進んでいきましょう。
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