本文へスキップ

百番観音(相模原市文化財)・安産守白子観音を祀る観音霊場

TEL. 042-762-2947

〒252-0136 神奈川県相模原市
緑区上九沢264

こころに向き合うBUDDHISM

こころに向き合う

こころに向き合う

~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~

「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)

筆者(住職 舘盛寛行)略歴

第24回 煩悩(悪見)

~私の人生を、私の自由に生きたいと思いませんか?~

私の人生なのだから、私の自由に生きたいと思いませんか?

何事にも縛られることなく、自分の人生は自分で決めて良いはずです。私たちは一人ひとり違う存在です。生まれ育った環境やこれまでの人間関係、性格や体質、趣味や生活習慣、価値観や人生観など、すべて自分と同じ人は存在しません。「私は私」そして「あなたはあなた」なのです。だからこそ、私には私の生き方というものがあって当たり前なのです。

しかし、私たちは、家庭や職場、学校や地域などで様々な人と関わりながら生活をしているため、すべてが私の自由になるわけではありません。お釈迦(しゃか)さまが説かれる「多くの縁(えん)がつながり合い、そのご縁に支えられて生かされている」という縁起(えんぎ)の教えは、本来、周囲の人たちとのつながりこそ、私が生きるための支えとなるというものです。しかし、そのつながりが、かえって自由に生きようとしている私にとって束縛(そくばく)に見えてしまうのです。そして、その束縛から逃れようとすればするほど、さらに「私は私」という思いが強くなっていきます。

お釈迦さまは、「私は私」という思いが強くなり過ぎると、他人は関係ないと周囲とのつながりを否定するようになってしまうことがあるので注意が必要だと説いています。つながりを否定する心を仏教では「悪見(あっけん 誤ったものの見方)」といい、誰の心にもある根本煩悩(こんぽんぼんのう)の一つとしています。

「悪見」の煩悩にとらわれると、私の思いだけで行動するため、周囲からは自分勝手な行動と受け取られてしまいます。しかし、自分としては、自分が正しいと思うことを正直に行っているだけなので、たとえ周囲の理解が得られなかったといても、「私は当たり前のことをしているだけ」「私のことを理解できない相手の方が悪い」と感じてしまうようになり、自分の意見を無理にでも押し通そうとしてしまいます。

そして、たとえ相手が迷惑を感じていても、その気持ちに気づけなくなってしまいます。
最後には、周囲とのつながりが切れ、孤立してしまうことによって、苦悩が増し、自分の思い描いた自由な生き方ができなくなってしまうのです。

私が生きていくためには周囲の支えが必要です。そして、自由に生きるためには周囲の理解が必要なのです。もし、自由に生きたいと望むなら、つながりを束縛として否定するのではなく、つながりを味方にしていかなければなりません。私の人生のため、悪見にとらわれないようにしましょう。



→ 目次へ(こころに向き合う 全32回)


バナースペース

曹洞宗巨福山梅宗寺

〒252-0136
神奈川県相模原市緑区上九沢264

TEL 042-762-2947
FAX 042-762-2947