~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~
「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)
毎日、同じようなことの繰り返しで疲れていませんか?
特につらい日々が続いている時には、日常を離れ、身体と心を休めることも大切です。趣味や旅行など、日常を離れる方法は様々ありますが、寺院でも日常を離れた非日常の世界を感じることができます。
寺院には静けさや広い空間、歴史の深さや、整えられた庭園、荘厳な本堂や仏さまの神秘性など、日常生活では味わえない様々な世界が存在します。寺院という環境は、そこに立ち入るだけで、私たちの心を動かす力に満ちあふれています。
そして、非日常の世界では、私たちが日常で味わう世間のしがらみや束縛、不安や苦悩から一時的にでも離れることができるため、寺院を訪れると自然と清々しさを感じるのです。
また、日常から離れることによって、自分自身や世間の姿を客観的に見ることができるようになります。そして利潤追求や競争に振り回された世俗の価値観から離れ、仏さまの真理の世界に触れることによって、新たな自分に気づくこともできます。
つまり、寺院は日常を自然と離れることができ、世俗を断ち切ることができる場ともいえます。
また、お釈迦(しゃか)様は無常(むじょう)、つまり物事は常に変化していると説かれました。毎日が同じことの繰り返しに見えても、常に変化しており、同じ日はないということです。
周囲を見渡せば、季節は移り変わり、人々の生活も昨日とは違います。自分自身の身体や心の状態も昨日とは同じではありません。無常の視点で見れば、日常の中にも非日常の世界を見つけることができます。昨日とは違う今日を楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、無常ということは、自分自身で今日という日を変えることもできるということです。小さな変化でも良いので、何か昨日とは違うことを試してみてはいかがでしょうか。
日常を離れた非日常の世界はすぐ近くにもあります。一つの考えや視点にとらわれずに、周囲を見渡してみてください。変化を見つけ、楽しむことができれば、毎日の生活も豊かなものになるはずです。
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