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百番観音(相模原市文化財)・安産守白子観音を祀る観音霊場

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こころに向き合うBUDDHISM

こころに向き合う

こころに向き合う

~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~

「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)

筆者(住職 舘盛寛行)略歴

第30回 対機説法

~相手を支援するために心がけることは?~

悩みを抱えながら日々を過ごしている人が多くいる中で、その悩みを和らげるために、少しでも力になりたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

相手を支援する際に、どのようなことを心がければよいのでしょうか?

お釈迦(しゃか)さまは一人ひとりが、苦しみから解脱(げだつ)できるように対機説法(たいきせっぽう)を行っていたと伝えられています。一人ひとりの抱えている悩みは違います。また、生まれ育った環境やこれまでの人間関係、性格や体質、趣味や生活習慣、価値観や人生観など、すべてが同じという人はいません。そのため、悩み方も一人ひとり異なります。

仏教では一人ひとりの素質や能力を「機(き)」といいますが、お釈迦さまは他心通(たじんつう 他の心を知る力)によって直ちに相手の心を知り、相手の機に応じて相手にふさわしい適切な教えや実践を説いていました。

お釈迦さまのように相手にとって適切な支援をするためには、一人ひとりに向き合い、相手の機、つまり相手の悩みや思い、背景や立場などについて知ることが大切になります。しかし、私たちにはお釈迦さまのような直ちに他の心を知る力はありません。

では、どうすれば相手の心を知ることができるのでしょうか?

相手の本心は、相手自身にしかわかりません。相手の心を知るには、相手から本当の思いを教えてもらわなければなりません。まずは相手の話に耳を傾け、ていねいに聴くことを心がけましょう。

話を聴くときには、相手が話しやすい環境や雰囲気を心がける必要があります。他の人に心を開き、本心を話すということは不安も大きく、容易なことではありません。どのような話でも否定や批判をせずに聴き、理解しようと努めることが大切です。そして、話の内容について、秘密を護ることも重要です。お互いの信頼関係があって、はじめて安心して話せる環境が作れるのです。

相手の心を知るために話を聴くのですが、相手が今の状況になるまでには、これまで過ごしてきた時間や経験が大きく関わっており、そのすべてを聴き、理解することはできません。そのため、安易にわかったつもりにならないように気をつける必要があります。すべてが理解できないからこそ、ていねいに相手の話を聴き、相手の心を知ろうとする努力が大切なのです。

相手を支援する際には、相手の心を知ることから始めてみてください。



→ 目次へ(こころに向き合う 全32回)


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