~悩みを抱えている方へ、仏教からのメッセージ~
「こころに向き合う」は大本山永平寺別院『別院だより』に掲載されたものです。(2013年~2020年)
困っている人がいた時、助けてあげたいと思うことはありませんか?
私たちは家族や友人、職場や地域の人たちなど、多くの人と関わり合いながら共に生活をしています。共に生活するためには、お互いを思いやり、支え合うことが大切になります。
仏教でも多くのご縁とのつながりの中で共に生きるためには、四無量心(しむりょうしん)、つまり慈(じ 相手の幸せを願う心)、悲(ひ 相手の苦しみを除いてあげたいと思う心)、喜(き 相手の幸せを共に喜ぶ心)、捨(しゃ 相手の言動に動揺せず平静な心)の四つの心を持つことが大切だと説かれてます。
悩みを抱えている相手を支援する際には、この四無量心が基本になります。
「慈」と「悲」の心は、相手の思いを察する想像力や、相手の思いを自分のことのように受け取る共感力が大切で、相手の悩みや苦しみを知ることによって、慈悲の心は深まっていきます。そして、想像力や共感力は自分自身が悩み苦しんだ経験によって高まっていきます。
また、自分が悩み苦しんでいた時に助けてもらった経験があり、感謝の思いから、次は自分が誰かの助けになりたいという思いが生じることもあります。
相手を助けてあげたいという素直な気持ちを大切にして、慈悲の心を深めていってください。
次に相手の幸せを共に喜ぶ「喜」の心です。悩みを抱えている人を支援する中で、相手の幸せを純粋に喜べる心を持つことが大切です。共に喜んでくれる人がいることは、相手にとって大きな支えとなるからです。
重要なのは損得なしに純粋に喜べることです。私たちの心には相手と自分を比較してしまう煩悩があります。相手が次第に幸せになっていく姿をうらやましく思ったり、大きな利益を得たことに嫉妬(しっと)してしまうと純粋に喜べなくなってしまいます。共に生きる仲間として純粋に喜び合える関係作りを心がけてください。
最後に相手の言動に動揺せず平静な「捨」の心です。相手を支援する際に、すべてが思い通りにいくわけではありません。誤解が生じたり、相手が怒り出したり、支援を拒絶されることもあります。しかし、相手の態度や言動の変化は、相手の自己表現の一つの形として、大きな心で受け止め、どのような言動にも怒ることなく、冷静かつ温かい心で受け入れることが大切です。
相手を支援する際には、慈悲喜捨の四無量心を心がけてみてください。
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